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2010年11月 9日 (火)

表展作品のメイキング⑯(覚ver.)<付廻ししますよ、その5>

こんばんは玉木覚です

今朝から地元の阪神高速3号神戸線が集中工事に入りましたその影響で神戸周辺を車で移動するのに苦労なさっている方も多いのではないでしょうか。私もその一人ですが…無事に工事が済んで開通する日が待ち遠しいですね

閑話休題

前回は銀筋の付廻しが完了しました銀色がひらひらとしていていい感じです柱と天地の付廻しでは、銀筋を均一に3厘(約0.9 mm)だけ見えるように布を取り付けていきます。

5 ←銀筋を付け終わったところ(前回です)

今回は柱の部分の付廻しを紹介します柱とは作品に対して左右に付く布のことです。(柱が『???』な方はこちらを参照ください⇒http://www.tamakirakuzando.com/sub16.html

今回の掛軸で、柱の付廻しで最も大切なことは2つありますこれがうまくできなければ、今回の掛軸は成功しません

キーポイント
1.銀筋を3厘だけ均一に見えるようにして柱を取り付けること。
2.柱と天地の柄が合うように計算して柱を取り付けること。(メイキング⑫で少々触れた柄合わせのことです)

では一つずつ見ていきましょう

まずキーポイント1ですが、銀筋の見える部分の太さにバラツキがあっては見た目がよろしくないですよねなので、銀筋の見える部分を3厘(約0.9 mm)ピッタリにして柱を付廻すのですが、この作業はフリーハンドでは難しいです。ですので「覆輪定規(ふくりんじょうぎ)」と呼ばれる道具のお世話になります

7 ←覆輪定規

この覆輪定規、遠目には普通の定規と変わらないのですが、近付いてみるとエッジの部分に引っかかりがあります。この引っかかりは、定規の端から端まで一定の太さで付いています

9 ←覆輪定規(引っかかり有り) 8 ←普通の定規(引っかかり無し)

写真で覆輪定規のエッジの引っかかりがわかりますでしょうか覆輪定規には、この引っ掛かりの部分の太さ(厚み)が3厘だったり5厘だったりと色々な種類のものがあります。今回は銀筋の太さが3厘ですので、3厘の太さの引っかかりを持った覆輪定規を使いました

覆輪定規の使い方は、銀筋の上に覆輪定規の3厘の引っかかりの部分(エッジ)を置いて、二番唐紙と銀筋の段差に引っかかりの部分(エッジ)を引っかけます。この状態で覆輪定規がずれないようにしっかりと固定して、柱を付廻します。

2 ←こんな感じで使います。 

3 ←遠目にこんな感じ。

次はキーポイント2です今回の天地、柱の布は柄が入っていますこの柄が布の継ぎ目でずれていると見た目があまりよろしくありませんですので、天地の布を付回したときに柱の布の継ぎ目部分で柄がずれないように、柱の付廻しの段階(今です)で柱の布の柄の出方を確認しておきます。これは、実際に天地と柱の布を組み合わせてみて確認します。(布の切り出しは柄合わせのことを考慮に入れて行っているいるので、ここでは柄合わせの最終確認になります。メイキング⑥ではこのことに触れていませんが、実際は柄合わせのことを考慮に入れて布の切り出しをしています。)

13_2 ←布の継ぎ目(柱の布と地の布)で柄がずれていませんよね

この2つのキーポイントに注意して、柱の付廻しをしました

柱の付廻しをしますよ~
では、具体的な方法です
①.覆輪定規を銀筋の上に載せます。
②.覆輪定規のエッジ(3厘)を二番唐紙と銀筋の段差に引っ掛けます。
③.動かないようにしっかりと固定します。
④.柱を付回す前に、あらかじめ柱の柄の出方を確認しておきます。(実際に天地と柱の布を組み合わせて、つなぎ目部分の柄の重なり具合を確認します。)
⑤.柱の裏面の銀筋が付く部分に、約8厘の太さで均一に糊をつけます。(今までの付廻しと同じようなかんじです)
⑥.③でしっかりと固定した覆輪定規に沿って、柱を付廻します。
⑦.付回した部分をよく押さえて外れないようにしたら完了です
*①~⑦を柱2本分(作品に対して左右両方)やります。

2_2 ←② 1 ←柱の片側を付廻したところ

6 ←柱の片側を付廻したところ(拡大)

これでやっと柱の付廻しが完了しました私の感想としては、今回の掛軸の付廻しの中では、柱の付廻しが最も難しかったです。だって、銀筋を均一に出さなきゃいけないし、柄合わせも考慮しないといけないし・・・糊には水分が含まれているのですが、作業にモタモタしていると糊の水分が銀筋の紙の部分に吸収されて、銀筋がヘロヘロになるのです

次回は天地の付廻しを行いますが、今回で柄合わせはしっかりと確認しているので作業的には少し楽になりますそれでは次回もお楽しみに~

『2010年表展作品のメイキング⑰(覚ver.)』へ続く

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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