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2011年6月25日 (土)

天地(上下)

こんばんは玉木覚です

今日は掛軸の構成部材の紹介をします

このブログで、風帯⇒一文字⇒中廻(中縁)の順に紹介してきたので、今日は天地(上下)のお話をします。

*:読み方は「天地=てんち」、「上下=じょうげ」です。

こちらがモデルの掛軸です。

7 ←モデルの掛軸

今までこの掛軸の形式について触れてきませんでしたが、この掛軸の形式は『草の行(そうのぎょう)』というものです。この形式の掛軸は『茶掛(ちゃがけ)』とも呼ばれ、茶席で用いられるのに適しています。もちろん、一般家庭の床の間などに掛けて鑑賞してもまったく問題ありません。普通の家には茶室なんてなかなか無いでしょうから、床の間などで鑑賞する機会の方が多いかもしれませんね。掛軸の形式は『草の行』以外にもたくさんありますので、またの機会にゆっくりと紹介します

では話を本題に戻しまして、この掛軸の中のどこの部分が『天地(上下)』になるのか見てみましょう。

8 ←『天地(上下)』

上の写真の赤で囲んで薄いピンク色に塗った部分が『天地』です。『天地』は『上下』とも呼ばれます。『天地』は、『中廻』の上下に『中廻』とは別の部材を付けた部分のことです。作品の上にある部分を『天』もしくは『上』、一方、作品の下にある部分を『地』もしくは『下』と呼びます。(当店ホームページにも簡単な図説を載せています。よかったらご覧ください。⇒図説

次に、『草の行』(上の写真のタイプの掛軸)を例にして、『天地』の布を選ぶポイントを紹介します。他にも細かいことはありますが、ざっくりとはこんな感じです。

①『天地』の布は『中廻』よりもやや質を下げたものを用います。

②掛軸全体の色や質感などのバランスを考えて布を選ぶ。

③無地の布を選ぶ場合、平織の布が適しています。(平織の布はわりと強度があるで、八双および軸木の際の掛軸がもっとも傷みやすい部分に使うことに適しています。)

最後に、『草の行』の天地に使いやすい布を紹介します。、『草の行』の天地の布は、モデルの掛軸のように無地の布で奇抜ではないおとなしい感じの色が使いやすいように思います(ベージュ、薄い緑色、淡い桜色など)。

*:写真では実物よりもやや明るく写っています。実物はもう少しやんわりとした様子です。

12_2 ←天地に使いやすい布の例1

14_2 ←天地に使いやすい布の例2

13_2 ←天地に使いやすい布の例3

11_2 ←天地に使いやすい布の例4

15_2 ←天地に使いやすい布の例5

逆に派手派手な色(鮮明な赤、青、黄の原色系)の布は、天地に不向きなように思います。試しに派手派手な色の布を天地に使った掛軸をイメージしてみてください。なんとなくでも、掛軸の調和が崩れるように思いませんか?

私はできるかぎり作品を引き立たすことができる布を選ぶように心掛けていますが、これがなかなか難しいです。修行あるのみです

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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