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2011年7月18日 (月)

真・行・草のおさらい(掛軸)

こんばんは玉木覚です

今日は今まで紹介した掛軸の『真』仕立、『行』仕立、『草』仕立のおさらいをしますねブログの過去の記事に各々のことを載せていますので、よろしければご覧ください。

掛軸にはたくさんの種類がありまして、次の三つに大別することができます。

①(広義の)大和仕立

⇒「(広義の)大和仕立」は、『真』仕立、『行』仕立、『草』仕立の三種類に分けられる。

②文人仕立

③デザイン表具(創作表具、造形表具)

今回、一連の記事で紹介してきました、『真』仕立、『行』仕立、『草』仕立の三種類は、「(広義の)大和仕立」というジャンルの掛軸になります。

●『真』仕立(仏表具)

『真』仕立は仏表具として親しまれています。『真』仕立(仏表具)のイメージには、荘厳・厳格・格式・権威・豪華、といった言葉が挙げられることが多いです。この様式の用途は、仏教系の書画の作品に用いられます。

『真』仕立の中には『真の真』仕立、『真の行』仕立、『真の草』仕立の三つの様式があり、一般的には『真の真』仕立が最も格上、『真の行』仕立が二番目に格上、『真の草』仕立が最も格下の様式とされています。これらの様式は、作品の内容(格)によって使い分けられることが多いです。

『真』仕立の見た目の特徴としては、基本的には、『一文字』、『中縁』、『総縁』が作品を取り囲みます。また、『中縁』の外側と内側には『筋』を付けます(『筋』を付けないバージョンもあります)。

『真の真』仕立、『真の行』仕立、『真の草』仕立の見た目の違いとしては、『真の真』仕立には『一文字廻』が、『真の行』仕立には『一文字(上下)』がそれぞれ付いており、『真の草』仕立には『一文字』が付いていません。

1_3  3_2_3 ←『真の真』仕立の例

2_2 2_2_4 ←『真の行』仕立の例

3_2 4_2 ←『真の草』仕立の例 5_4 ←『真の草』仕立の例(上部拡大)、『一文字』が付いていません。

●『行』仕立(大和表具)

『行』仕立は大和表具として親しまれています。『行』仕立(大和表具)のイメージには、端正・優雅・憩い・和風、といった言葉が挙げられることが多いです。この様式は、神道系の作品の他、仏教系以外の作品、文人系以外の作品、に多く用いられます。言い換えると、神道系の作品、大和絵(風月、花鳥)、和様の書作品(特に仮名)に多く用いられます。

『行』仕立の中には『行の真』仕立、『行の行』仕立、『行の草』仕立の三つの様式があり、一般的には『行の真』仕立が最も格上、『行の行』仕立が二番目に格上、『行の草』仕立が最も格下の様式とされています。これらの様式は、作品の内容(格)によって使い分けられることが多いです。このあたりのことは『真』仕立(仏表具)と同じです。

『行』仕立の見た目の特徴としては、基本的には『一文字』、『中廻』、『上下(天地ともいう)』で作品を装飾します。『行』仕立は『草』仕立よりも柱の幅が広くなっています。また、『行』仕立は、「幢補(どうほ)仕立」とも呼ばれています。

『行の真』仕立、『行の行』仕立、『行の草』仕立の見た目の違いとしては、『行の真』仕立には『一文字廻』が、『行の行』仕立には『一文字(上下)』がそれぞれ付いており、『行の草』仕立には『一文字』が付いていません。また、『行の草』仕立には複数のバージョンが存在しますが、ここでは多く見られるものを載せておきます。(詳しくは『行の草』をご覧ください。)

6  2_3 ←『行の真』仕立の例 1_2_3 ←『一文字廻』付近の拡大

7  2_4 ←『行の行』仕立の例 1_3_2 ←『一文字』付近の拡大

8  *『行の草』仕立の掛軸の写真は、『行の草』仕立の掛軸が見つかり次第にアップします。

●『草』仕立(茶掛

*:『草』の仕立は「茶掛」と書きましたが、厳密には茶掛は茶の湯にふさわしい掛物の総称です。ですが一般的には【『草』の仕立=「茶掛」】と考えてなんら差し支えありません。

『草』仕立は茶掛として親しまれています。『草』仕立(茶掛)のイメージには、質素・侘び・さび・風情、遊び心、といった言葉が挙げられることが多いです。この様式は、茶掛用の作品に多く使われます(宗教者(特に仏教関係者)による宗教的内容の書跡が多いです)。

『草』仕立の中には、『草の行』仕立、『草の草』仕立の二つの様式があり、一般的には、『草の行』仕立が格上、『草の草』仕立が格下の様式とされています。この二つの様式は作品の内容(格)によって使い分けられることが多いです。また、四畳半以下の茶室では『草の草』仕立が適しているといわれています。

『草』仕立の見た目の特徴としては、基本的には『一文字』、『中廻』、『上下(天地ともいう)』で作品を装飾します。『草』仕立は『行』仕立よりも柱の幅が狭くなっています。また、『草』仕立は、「輪補(りんぽ)仕立」とも呼ばれています。

『草の行』仕立、『草の草』仕立の見た目の違いとしては、『風帯』が『行の行』仕立では『垂風帯』ですが、『行の草』仕立では略式タイプの『押風帯』になります。また、『草の草』仕立の『上下』には布ではなく紙が使われることが多いです。

1_4  7_2_2 ←『草の草』仕立の例(『風帯』が『垂風帯』であることにご注目ください。)

2_5_2  3_3_2 ←『草の草』仕立の例(『風帯』が『押風帯』であることにご注目ください。) 6_2 ←『風帯(押風帯)』付近の拡大

これで、掛軸の真・行・草のお話は一応の区切りとさせていただきます。さらに突っ込んだ真・行・草の細かい(マニアックな)お話は、別枠でいたします

次回からは『文人仕立』という掛軸の形式を紹介しますこの様式の掛軸もいろんな種類がありますので、ひとつひとつ見ていきましょうお楽しみに~

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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