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2011年7月12日 (火)

行の草(掛軸)

こんばんは玉木覚です

今日は『行』仕立ての『行の真』、『行の行』、『行の草』のうち、『行の草(ぎょうのそう)』のお話にまいります

『行』仕立には、『行の真』、『行の行』、『行の草』の三種類がありますが、一般的には、『行の真』が最も格が高く、『行の行』が二番目に格が高く、『行の草』が最も格が低いとされています。(各様式の格については、またの機会に紹介します。)

『行の草』仕立は、『行の行』仕立から『一文字』または『風帯』、もしくはその両方を取り除いたものをいいますが、多くの場合は『風帯』を残します。別の表現をすると、『行の草』仕立は『行の行』から『一文字』を取り除いたものが多い、ということになりますね。文章では分かりにくいので、模式図で紹介します。

8 ←『行の草』の模式図その1

上の模式図その1が、『行の草』仕立に多く見られる格好です。これは『行の行』仕立から『一文字』を取り除いた格好になります。

次の模式図その2(『行の行』から『風帯』を取り除いた格好)と、模式図その3(『行の行』から『一文字』と『風帯』を取り除いた格好)は見かけることが少ない格好です。

2_3 ←『行の草』の模式図その2 3 ←『行の草』の模式図その3

比較として『行の行』の模式図も載せておきます。『行の行』には『一文字』と『風帯』が付いています。

7 ←『行の行』の模式図

『行の草』の模式図その1には『風帯』が付いていますが、この『風帯』は『中廻』と同じ布を使って作られます。このように『中廻』と同じ布を使って作られる『風帯』は、『中風帯(ちゅうふうたい)』と呼ばれます。(模式図では『中廻』と『風帯』を別の色で表現していますが、これは掛軸の部位を説明するためにこうしています。)

(余談ですが、『行の真』や『行の行』の『風帯』は、『一文字廻』や『一文字』と同じ布を使って作られます。このように『一文字廻(または一文字)』と同じ布を使って作られる『風帯』は、『一文字風帯』と呼ばれます。)

さて、話をもとに戻しまして・・・

『行の草』仕立のうち『一文字』を取り除いた格好(模式図その1、その3)を、特に「二段仕立」といいます。これは、作品の外側に『中廻』と『上下(天地)』の二つの部材が付くことに由来しています。ちなみに、作品の外側に『一文字』→『中廻』→『上下(天地)』と三つの部材が付く格好(例えば『行の行』、『草の行(後日紹介します)』など)は、「三段仕立」と呼ばれることがあります。

『行の草』仕立の用途ですが、この様式は美人画などの風俗画や琳派系の装飾絵画のように、町家方絵画の格が下がるとされるものに用いられることが多いです。つまり、絵画作品の中でも「艶」や「崩し」の表現が見られる、あるいは品性が少し劣るとされる場合です。

ということで、ここからはいつものように実際に『行の草』仕立の掛軸の写真を紹介したいところなのですが、『行の草』仕立の掛軸が身近に見つかりませんでした・・・倉庫の中をくまなく探せば多分あると思うのですが、なかなか時間がかかりそうです。また見つけたときに紹介するということで、ご勘弁を申し訳ない気分でいっぱいです

次回は、『真』、『行』、『草』の仕立のうちの『草』の仕立を紹介します。『草』の仕立は『茶掛』として親しまれています。お楽しみに~

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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