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2011年7月19日 (火)

文人仕立

こんばんは玉木覚です

今日から数回に分けまして、掛軸の種類のひとつである『文人仕立』を紹介します

掛軸の種類は次の三つに大別することができます

①(広義の)大和仕立

②文人仕立

③デザイン表具(創作表具、造形表具)

①「(広義の)大和仕立」は、『真』仕立、『行』仕立、『草』仕立の三種類に分けられます。前回までに紹介した掛軸になります。

では、『文人(ぶんじん)仕立』のお話にいきましょう。(「『文人』って何?」って思われた方は、文末の<おまけ>をご覧ください。)

『文人仕立』はその名の通り、特に文人画に多く用いられることからその名を付けられました。『文人表具』と呼ばれることもあります。また、文人画だけではなく中国趣味的な作品の掛軸にも用いられることから、唐(から)仕立とも呼ばれます。なお、『文人仕立』には『風帯』を付けません。

Image15 ←『文人仕立(丸表具)』の掛軸の例 (『風帯』が付いていません)

絵画では文人画(南画)や中国趣味風の画、書では篆書(てんしょ)・隷書などの中国風書体、中国詩文、また拓本などに用いられます。また、江戸時代には蘭画**の軸装にも『文人仕立』が用いられていたといわれていますが、これは当時、洋風画に使用する様式が定まっていなかったことが考えられます。現在でも洋風の作品や前衛的な書作品は大和仕立では映りにくい事から、『文人仕立』を使うことが多いです。

**:蘭画とは、江戸時代に生じた秋田蘭画や長崎派などの諸派による洋風画のことです。蘭とは当時交易のあったオランダのことです。

<『文人仕立』の様式>

『文人仕立』の様式ですが、代表的なものとしては『丸表具(袋仕立)』が挙げられます。他には『二段文人仕立』、『唐表具(とうひょうぐ)』があります。そして、『文人仕立』の補助様式(バリエーション)として『明朝(みんちょう)』があります。

次回からひとつひとつ一緒に見ていきましょうお楽しみに~

<おまけ>文人画(ぶんじんが)と南画(なんが)について。

文人画の文人とは、知識人のことです。ですので、文人画とは知識人が書いた絵画ということです。もう少し言葉を足しますと、文人画は文人(知識人)が余技的に描いた絵画のことでして、職業画家との区別をするために明末の「董其昌(とうきしょう)」が使用し始めた言葉といわれています。明末ということから、文人画は中国の文化であることが分かります。(「文人(知識人)」とは当時の中国人のことですね)

一方、日本の文人画を南画(なんが)といいます。これは中国の南宗画に由来します。詳しいことは、池大雅、与謝蕪村、富岡鉄斎などのキーワードで検索してみてください。いろいろ出てきますよ。

文人画も南画も画題は水墨画などの東洋画の一般的なものと共通する、山水・花鳥・草虫・花卉(読みは「かき」。草花のこと。特に「歳寒三友(「さいかんのさんゆう」松・竹・梅)」、「四君子(「しくんし」菊・竹・梅・蘭)」が好まれる。)などです。

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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