« 第61回 加古川市美術展 | トップページ | 草の行(掛軸) »

2011年7月14日 (木)

『草』の仕立(掛軸)

こんばんは玉木覚です

今日は表具形式の紹介ですちょっとだけ今までお話したことを振り返っておきましょう

前回までで、『真』仕立(仏表具)、『行』仕立(大和表具)のお話をしました。そして、それぞれの仕立は更に細かく分類することができることを紹介しました。つまり、『真』仕立は『真の真』、『真の行』、『真の草』に、また『行』仕立は『行の真』、『行の行』、『行の草』という具合に細かく分かれます。そして、掛軸の格は(一概には言えませんが)一般的には次のように言われています

<『真』仕立(仏表具)の場合>

『真の真』が最も格上、『真の行』が二番目に格上、『真の草』が最も格下

<『行』仕立(大和表具)の場合>

『行の真』が最も格上、『行の行』が二番目に格上、『行の草』が最も格下

このことからお気付きの方もいらっしゃると思いますが、掛軸の形式を表す表現である『○の△』の○の部分が掛軸のカテゴリ(仏表具、大和表具)を示し、△の部分がそのカテゴリの中での掛軸の格を示しています。

つまり、『真の真』でしたら「仏表具(○の部分)の最も格上の様式(△の部分)」を表しており、『行の行』でしたら「大和表具(○の部分)の二番目に格上の様式(△の部分)」、といった具合です。

ここで話が少しややこしくなるのですが、「真」・「行」・「草」と言う言葉は、『①掛軸のカテゴリ(仏表具、大和表具、茶掛)を表す意味』と、『②そのカテゴリ内での掛軸の格を表す意味』の二つの意味を持っていることがわかります。このことだけを聞かされると「ん~、ややこしいなぁ」となってしまうと思います。しかし、「真」・「行」・「草」と言う言葉は唐(中国)の文化と日本の文化および両国の歴史と深くかかわっており、おのおのの言葉が持っている本来の意味をお話しすると非常に長くなります。ですので、また別枠でお話しますね。

今のところは、『「真」・「行」・「草」と言う言葉は、掛軸のカテゴリと、そのカテゴリ内での掛軸の格を表す言葉なんだなぁ。』、という認識でお願いします。

かなり前置きが長くなりましたが、今日は「掛軸の『草』の仕立」(茶掛)についてです。

*:『草』の仕立は「茶掛」と書きましたが、厳密には茶掛は茶の湯にふさわしい掛物の総称です。ですが一般的には【『草』の仕立=「茶掛」】と考えてなんら差し支えありません。

上で紹介したように『草』の仕立ては『茶掛』とも呼ばれています。『茶掛』という呼び方のほうが耳に馴染みがあるかも知れませんね。また、『草』の仕立ては『行』仕立の中廻の柱の幅を細くしたものでして、『輪補(りんぽ)仕立』とも呼ばれています。写真で『草』仕立ての掛軸を見てみましょう。比較として『行』仕立の掛軸も載せておきますね。柱の太さの違いにご注目ください。

7_2 ←『草』仕立ての掛軸(茶掛)の例、その1

3_3 ←『草』仕立ての掛軸(茶掛)の例、その2

2_2 ←『行』仕立の掛軸の例(『行の行』)

『輪補(りんぽ)仕立』の「輪」とは、「覆輪(ふくりん)」の略であり、覆輪とは例えば袖口に補修などの理由で、別の布地を細く付けることを意味します。そして、表具では装飾を兼ねた細身の部材で本紙などの小口を取り巻く養生を指すといわれています。『草』仕立も細い柱を付けその形状が似ていることから輪補という名前がついた説があります。

さて、『草』仕立には、『草の行』と『草の草』という二つの様式があります。この二つの様式の見た目の違いは、【『風帯』が『垂風帯(さげふうたい)』であるか、『押風帯(おしふうたい)』であるか】といったことや、【一文字か付いているか付いていないか】といったことなどを挙げることができます。このあたりのお話は『草の行』と『草の草』の記事内でもう少し詳しくお話します。

(『草』仕立には真の形がありません。詳しくは改めて書きます。)

『草の行』と『草の草』の例(模式図)を挙げると、次のようになります。

1 ←『草の行』の例(模式図)

2_4 ←『草の草』の例(模式図)

この『草』仕立の掛軸は、『真』仕立(仏表具)や『行』仕立(大和表具)とはちょっと違った趣を持っています。このあたりのことを交えながら、次回から『草の行』と『草の草』のお話をします。

お楽しみに~

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

« 第61回 加古川市美術展 | トップページ | 草の行(掛軸) »

文化・芸術」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

趣味」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『草』の仕立(掛軸):

« 第61回 加古川市美術展 | トップページ | 草の行(掛軸) »