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2011年7月 1日 (金)

真の真(掛軸)

こんばんは玉木覚です

お詫びと訂正をさせていただきます。

<お詫びと訂正>

2011年6月27日 (月)の『掛軸の真行草』の記事で紹介した仏表具の形式を「真の行」と記載しましたが、正しくは『真の真』です。訂正してお詫びを申し上げます。なお、記事の誤りの部分は修正しておきました。

1_2 ←「真の行」と記載しましたが、正しくは『真の真』です。

【ここからが本日の記事です】

今日は『真の真』の掛軸を紹介します。『真』の仕立はいわゆる「仏表具」であり、『真』の仕立には、『真の真』、『真の行』、『真の草』の三体(真の三体)が存在します。『真の真』はこの三体の中で、もっとも格上の様式とされています。(このあたりのことは2011年6月28日 (火)の「真の三体」をご覧ください。)

本題に行く前に、まずは『真』仕立の掛軸の特徴と見た目をおさらいしておきます

≪『真』仕立の掛軸の特徴≫

●天地が中縁(ちゅうべり)を囲む総縁(そうべり)を伴うのが特徴で、このときの中縁は細柱にします。
●中縁の外側と内側に筋を入れます(入れないバージョンも存在しますが、筋を入れることが多いです)。
●『真』の仕立のみ一般に、八双の両端を包み込んでかざる『八双金具(はっそうかなぐ)』をつけます。

≪『真の真』の掛軸の見た目≫

1 ←「真の真」の掛軸の模式図

上の図では筋をカラシ色とピンク色で表現していますが、これは見やすくするためにこの色で表現しています。実際には宗派によって筋の色はいろいろと使い分けられるので、注意が必要です

さて、こちらが『真の真』の掛軸です。

1_2_2 ←『真の真』の掛軸(仏表具)

この掛軸を細かく見ると次のようになります。

3 ←『真の真』の掛軸の部材紹介

この画像には『八双金具』が写っていませんが、この掛軸にはちゃんとついていますのでご安心を。次の写真は『筋』と『一文字廻』に注目したものです。

2 ←『筋』と『一文字廻』に注目した写真

上の写真で、中縁の内側と外側に金色の筋が付いていることが分かると思います。また、この掛軸には『一文字廻』が付いています。『真』仕立の掛軸には、『真の真』、『真の行』、『真の草』の三つの種類がありますが、『一文字廻』は『真の真』に特有のものです。『真の真』は『真の三体(『真の真』、『真の行』、『真の草』のこと)』の中でもっとも格上の様式ですので、見た目も『真の三体』の中でもっとも重厚なものになっています。『真の行』と『真の草』には『一文字廻』は付いていません(余談ですが、『一文字廻』は『真の真』以外に『行の真』にもついています。これは『行』仕立のお話の中で紹介します。)

『真の真』の掛軸をご覧いただいたところで、『真の真』の掛軸のお話をします

『真の真』の掛軸は、『一文字廻』、『中縁』、『総縁』によって作品が取り囲まれています。『風帯』には『一文字廻』の布と同じものを使います(一文字風帯)。また、『中縁』の外側と内側には『筋』が付けられている場合が多いです。

『真の真』の様式に仕上げられる作品は、如来像などの格の高い仏を絵画化、あるいはこれらを種子(しゅじ:如来や菩薩を象徴する固有の梵字(サンスクリット文字)のこと)などの手段で象徴化したものが多いです。お寺の本堂のど真ん中に掛かっている掛軸は、かなりの高確率で『真の真』の様式であると思います。このように、『真の真』の掛軸は非常に格の高い作品を軸装するときに用いられます。ただし、上記のことは「そうである事が多い」というだけであって、必ずしも「そうでなければならない」というわけではありません。

非常に格の高い作品を除けば、同じような内容の作品でも、現実的には『真の真』、『真の行』、『真の草』のいずれかの様式に仕立てられることが多いです。ややこしいですが、非常に格の高い作品を『真の真』より格下の様式の『真の行』や『真の草』に仕立てることは少ないです。これは、「掛軸あっての作品」ではなく、「作品あっての掛軸」という考え方(掛軸は作品を引き立たせるもの)が根底にあるからだと考えられます。別の表現をすると、作品の格によって仕立てる様式が決定される、とも言えます。

今回紹介した掛軸は「南無阿弥陀仏」というお名号が作品です。そしてこの作品は『真の真』に仕立てられています。しかし、「南無阿弥陀仏」というお名号を作品として取り扱っても、『真の行』や『真の草』に仕立てられることもあります(こちらの方が『真の真』より多いかも)。このように、「作品」と「掛軸の様式」の関係には相関性があってないような部分もあります。(*注:決して「南無阿弥陀仏」というお名号が格が低いといっているわけではありません。)

話をまとめますと非常にあいまいな表現ですが、「『真の真』の軸装にされる作品は、仏教系の格の高いもの」という認識をもっていれば良いと思います。裏を返せば、「『真の真』の掛軸に仕立てられている作品は、非常に格の高いもの」と言えるのではないでしょうか。

次回は『真の草』についてみていきましょう

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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