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2011年8月28日 (日)

別の観点から見た掛軸 その5 <床の間の様式と掛軸の関係①>

こんばんは玉木覚です

最近の記事は、あまり掛軸が登場せず文字が多い記事が続いていましたが、今日からは徐々に掛軸が登場してきますその1~その4のブログ記事は今日から書く記事のための前置きでしたので、これからが本題になります。(前置きの記事が長くてすみません

え~っと、前置きのブログ記事が長くなってしまったので、今回一連の連載記事の本題をもう一度確認しておきますね本題は、『今までの記事では掛軸の「見た目」を中心に取り扱ってきましたが、今回は歴史的・文化的な視点から掛軸を見ていこう』ということでした。

掛軸の見た目の裏に潜む背景を垣間見ると、掛軸の鑑賞がもっと楽しくなりますよ

では、今日のお話に行きます。今日のお話は前回までの内容を踏まえつつ、ちょっとだけ掛軸の様式(『真・行・草』、『文人仕立』)に触れてみたいと思います。

前回までの内容をおさらいしますと、まず床の間には『真』の様式があり、これに対して『草(茶室)』という様式がありました。そして、典雅を重んじる公家方の『行』と、「いき(粋)」を表現した町人たちの格落ちの『行』、および『真』を追求する町人によって作られた『真もどき』の各種の床の間があります。さらに、数寄屋(茶室)の影響を受けながら文人趣味を活かすことを目的とした『数寄屋風書院』が誕生して、今に至っていると言えそうです。

さて、話題が変わりますがここからのメインは掛軸になります。やっと掛軸が出てきます。お待たせしました。ここからは掛軸の様式を床の間の様式と照らし合わせて見ていきましょう。今日はその取っ掛かりとして掛軸のあらましについてお話いたします

掛軸は次の3つ(4つ)に大きく分けられます。(青地は詳細の記事にリンクしていますので、よかったらご覧ください。)

<掛軸のおおまかな分類>

①(広義の)大和仕立 ⇒ 『真』仕立(仏表具)『行』仕立(大和表具)『草』仕立(茶掛) (更に『真の真』・『真の行』・『真の草』『行の真』・『行の行』・『行の草』、『草の行』・『草の草』の合計8体に分けられる)

②文人仕立 ⇒ 『丸表具(袋表具、袋仕立)』『二段文人仕立』『唐表具』

【*:『文人仕立』の補助様式として、『明朝仕立』があります。また、『明朝仕立』のバリエーションとして『太明朝仕立』『筋割明朝仕立』『上下明朝仕立』があります。】

③デザイン表具(創作表具、造形表具)

(④その他の様式(絵伝表具))

<補足>

【☆:『(広義の)大和仕立』『文人仕立』の補助様式として、『台表具』および『刳抜表具』があります。

【☆☆:現在ではあまり用いられることのなくなった様式として、『見切仕立』と『韃靼表具』があります。】

掛軸の様式には、室町時代に足利義政の同朋衆(どうほうしゅう)によって定められた大和仕立の『真・行・草』体、および江戸時代に日本に渡ってきて広まった『文人仕立』があります。(今回は床の間の様式【『真・行・草』と『数寄屋風書院』】にスポットを当てていますので、掛軸の分類の中の「①(広義の)大和仕立」と「②文人仕立」に話題を絞ります。)

:同朋衆とは将軍・大名の側近にあたり、芸能・茶事・雑役を勤めた法体(ほったい:浄土門僧体)の者。

そして、相阿弥(そうあみ**)伝を参考とした真行草説ではさらに、真に真行草の3体、行にも真行草の3体、草には行草の2体の合計8体を配しています(上の<掛軸の大まかな分類>を参照)。

**:相阿弥とは足利義政の同朋衆。

床の間の様式に掛軸の様式を寄り添わせること(床の間の意匠に掛軸の意匠を調和させること)が本来であるといわれています。ですので、床の間の様式と掛軸の様式には深い関係があります。次回からはこのあたりを順番に探っていきたいと思います。

お楽しみに~

<おまけ>

日本の伝統芸術は仏教抜きでは語れないといわれますが、神道的な要素も同様に欠くことができません。これは、唐様と和様、言い換えれば仏教と神道のせめぎあい、あるいはお互いの補完が厚みのある日本の文化を形成してきたともいえるからです。ですので、表具(掛軸)を装飾芸術のひとつと捉えるとき、表具(掛軸)のお話をするにも宗教的な要素を抜きにすることはできないと考えられます。

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表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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