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2011年8月 6日 (土)

補助様式(刳抜表具)

こんばんは玉木覚です

今日も掛軸の補助様式のお話です

補助様式とは簡単にいいますと、ベースとなる掛軸の様式に何かをプラスすることによって新たな効果を得たり、より格好良く仕上げるための方法のことです。以前に紹介しました『明朝仕立』は、『文人仕立』の補助様式になります。⇒「2011年7月26日 (火) 明朝仕立」

前回は次の二つの補助様式のうち、『①台(だい)表具 (台張(だいばり)表具)』を紹介しました。今日は『②刳抜(くりぬき)表具 (切抜(きりぬき)表具)』のお話です

<補助様式>

①台(だい)表具 (台張(だいばり)表具)

②刳抜(くりぬき)表具 (切抜(きりぬき)表具)

『刳抜(くりぬき)表具』も『台表具』に用いるような作品の軸装に使用する補助様式で、『切抜(きりぬき)表具』ともいいます。作品より大きい布地を使い作品部分だけ切り抜き、そこへ作品をあてがって軸装するものです。

では、『刳抜(くりぬき)表具』(例)の模式図をご覧ください

1 ←『刳抜表具』の例 (模式図)

『刳抜表具』には一般には『一文字』を入れないとされています。掛軸の様式として一般的には、『一文字』を入れないものは『一文字』を入れたものと比較して格が低いものになります。よって、『一文字』の入っていない模式図の形式は、『文人仕立』の中でも格の低いものになります。

『刳抜表具』は『(広義の)大和仕立』(『真』仕立、『行』仕立、『草』仕立)にも使われますが、やはり『一文字』が入りませんので格の低いものに使われます。つまり、『一文字』が入っていませんので、『(広義の)大和仕立』(『真』仕立、『行』仕立、『草』仕立)の中の『草』体を表現するものになります。【⇒『真の草』、『行の草』、『草の草』のことです。】

少しだけ前回紹介した『台表具』と『刳抜表具』の比較をしてみます。『台表具』は台紙寸法を作品寸法に拡大解釈させる手段です。よって、『台表具』は『(広義の)大和仕立』(『真』仕立、『行』仕立、『草』仕立)の各様式およびすべての『文人仕立』に用いることが出来ます。一方、『刳抜表具』は先述のように一般的には『一文字』が入りませんので、格の低いものに使われます。逆の表現すると、『刳抜表具』は格の高いものには適さないことになります。また、『台表具』は台紙にを使うことによって作品の形状を変えることが出来る様式ですので、台紙の選定や寸法割は重要になります。

ちなみに、色紙作品や斗方(とがた)作品【正方形の作品】は、古くから台張の『円窓(えんそう)表具』で仕立てられることも多くあったようです。『円窓表具』とは円形作品の『刳抜表具』であり、台張の『円窓表具』とは台紙を円形にしてこれへ色紙を押すものです。

2 ←『台張円窓表具』の例 (模式図)

すまわち、『台表具』と『刳抜表具』を併用したものです。ただ、これには台紙周りに細く金襴などの布地を入れ、これを『一文字』に見立てて『一文字風帯』をつけることもあるみたいです。余談ですが、円窓は太陽や満月、あるいは禅画の円相を示唆するといわれ、作品によっては好適な表現を可能にするものです。

:円相とは、禅の書画のひとつ。図形の丸(円形)を一筆で描いたもの。悟りや真理、仏性、宇宙全体などを円形で象徴的に表現したものとされるが、その解釈は見る人に任されるとされています。

『刳抜表具』の掛軸ですが、身近には見つかりませんでした。最近は掛軸が見つからないことが多くてすみません。見つけ次第、このブログで紹介します。

次回は現在ではあまり用いられない(見かけられない)掛軸を紹介します。ここしばらくはマニアックな掛軸が続いていますが、次回はさらにマニアックなものですよ。お楽しみに~

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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