« 絵伝(えでん)表具 | トップページ | 第49回 県展 2011 »

2011年8月 4日 (木)

補助様式(台表具)

こんばんは玉木覚です

『文人仕立』を紹介したあたりからしばらくの間、かなりマニアックな様式の掛軸のお話が続いていました。ややこしい部分もあったかとは思いますが、なんとなくでも様式ごとの掛軸の見た目の特徴や雰囲気をお伝えすることが出来たでしょうか

今日からは掛軸の補助様式のお話をします。昨日の記事の最後でちらっと触れましたが、掛軸の補助様式といいますと、『文人仕立』のところで出てきた『明朝仕立』は、「『文人仕立』の補助様式」というものでしたね。良かったら参考までに『明朝仕立』の記事をご覧ください。⇒ 「2011年7月26日 (火) 明朝仕立」

補助様式とは簡単にいいますと、ベースとなる掛軸の様式に何かをプラスすることによって新たな効果を得たり、より格好良く仕上げるための方法のことです。

今日から紹介します補助様式は次の二つです。この二つの補助様式は、『行』仕立、『草』仕立、『文人仕立』でよく見かけると思います。

<補助様式>

①台(だい)表具 (台張(だいばり)表具)

②刳抜(くりぬき)表具 (切抜(きりぬき)表具)

では、今日のテーマの『台(だい)表具』のお話に行きましょう。『台(だい)表具』は『台張(だいばり)表具』とも呼ばれます。

『台(だい)表具』は作品を作品よりも大きな紙(台紙)に押し*1、それを作品寸法として軸装することをいいます。

*1:表具では小さい面積のものを大きい面積のものへ貼るときに「押す」と表現することがあります。

例えば、次のような比較的小さい作品を『台表具』にすることが普通です。

<『台表具』を用いるときの作品の例>

●色紙

●短冊

●斗(と)形(正方形)

●円形

●洲浜(すはま)形

●扇面(せんめん)形

●団扇(うちわ)形

など。

あるいは、比較的大きな作品でも方形でない変形のものは、作品の外形を整えるために『台表具』にすることがあります。また、歌切(うたぎれ)など断簡作品*2、すなわち当初から掛物用に作品化されていないもので、作品周りに余裕が無く鑑賞に窮屈さを覚えるときにも『台表具』を採用することがあります。

*2:ここでの断簡とは古人が遺した筆跡の断片や切れ端を言い、他に経巻、冊子、文書などによるものがあります。なお今日の作品で、この体裁をあえて模したものもあります。

『台表具』の例として、『行の行』仕立をベースにしたものを模式図にしてみました。この模式図に描かれている作品は扇面形です。また、模式図中の作品を取り囲む黄色い部分は『台紙』を表しています。

1_2 ←『行の行』仕立をベースにした『台表具』の例 (模式図)

上の図と本来の『行の行』仕立の模式図を見比べてみてください。

2 ←本来の『行の行』仕立の例 (模式図)

二つの図の違いは作品の部分だけだというのが分かりますでしょうか。

では、実際の掛軸の写真を見てみましょう。

こちらの掛軸は模式図の『台表具』と同じく、扇面形の作品を『行の行』仕立をベースにした『台表具』に仕立てました。

090920_223301 ←『行の行』仕立を元にした『台表具』(作品は扇面形)

余談ですが、この掛軸は過去に私が表展に出品させていただいたものです。光栄なことに賞をいただくことが出来ました。

次の掛軸はこのブログでもたびたび登場しているものです。

1_2_2 ←『デザイン表具』をベースにした『台表具』(作品は長方形)

この掛軸は去年の表展に出品させていただいたものです。作品の周りの黄土色の部分が『台紙』です。この掛軸は『丸表具』をアレンジした『デザイン表具』です。

次回は『刳抜表具』を紹介します

お楽しみに~

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

« 絵伝(えでん)表具 | トップページ | 第49回 県展 2011 »

文化・芸術」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

趣味」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 補助様式(台表具):

« 絵伝(えでん)表具 | トップページ | 第49回 県展 2011 »