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2011年8月 3日 (水)

絵伝(えでん)表具

こんばんは玉木覚です

今日は掛軸の種類のひとつである『絵伝(えでん)表具』の紹介をいたします

掛軸は大まかに次の三種類(①、②、③)に分けられます。今まではこの三種類(①、②、③)についてお話をしてきました。

今回紹介します『絵伝(えでん)表具』は特殊なものですので、今まではあえて触れませんでした。

掛軸の大きな分類

①(広義の)大和仕立 ⇒ 『真』仕立(仏表具)・『行』仕立(大和表具)・『草』仕立(茶掛)

②文人仕立 ⇒ 丸表具・二段文人仕立・唐表具 補助様式として『明朝仕立』とそのバリエーション

③デザイン表具(創作表具、造形表具) ⇒ ①、②、④のどの形式にも当てはまらない作品に対して施すもの、もしくはどの様式でもない自由な形式。

【④その他の様式(絵伝表具のこと。今まではあえて触れませんでした。)】

では、『絵伝表具』とはどのようなものかと言いますと、この様式は「御絵伝(ごえでん)」を軸装するときに選ばれます。この時点でなんだか特殊な雰囲気が漂っていますね

*御絵伝(ごえでん):法然上人や親鸞上人などの聖人が、発心(ほっしん:悟りを求めようとする心を起こすこと。)し、衆生(しゅじょう:生命のあるものすべて。特に、人間のこと。)に仏法を説き遷化(せんげ:高僧や隠者などが死ぬこと。)にいたるまでを絵巻物にしたもの。絵解き(解説)を伴う、在家(ざいけ:出家していない人。)の一般庶民への布教を目的とするものです。ご興味のある方は「御絵伝」で検索してみてください。いろいろ出てきますよ。

『絵伝表具』の見た目としては、二段表具の作品周りに『筋』を施したもので、柱幅は幾分細めにします。また、丸表具に『風帯』を付けた形式にすることもあるといわれています。

1 ←『絵伝表具』の例(模式図) 二段表具の作品の周りに『筋』を施しています。

ところで、御絵伝は仏教説話図の一種ですが、通常は説話図には『真』仕立を用いないとされています(御絵伝は、『真』仕立(仏表具)に仕上げる作品と同じ仏教系の作品ですが、「荘厳さの度合い」といった意味で『真』仕立(仏表具)に仕上げる作品とは少し趣が異なるようです。)。しかし、長らく伝わってきた由緒あるものや、絵解きを目的としない御絵伝は『真の草』仕立(もしくは『真の行』仕立)に仕上げられることもあります。

なお、余談ですが、『絵伝表具』は様式としてキッチリと確立しているわけではなく、御絵伝自体の作品が幅広であることから、おそらく床幅の制限によりこのような形式をとったと考えられています。

『絵伝表具』の掛軸ですが、少し探したところでは見つかりませんでした。すみません見つけ次第、このブログで紹介します

さて、次回からは掛軸の補助様式について紹介していきます。補助様式って聞き覚えがありませんか?そうです、『文人仕立』のところで出てきた『明朝仕立』は、「『文人仕立』の補助様式」というものでしたね。良かったら参考までに『明朝仕立』の記事をご覧ください。⇒ 「2011年7月26日 (火) 明朝仕立」

それでは次回をお楽しみに~

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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