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2011年10月 1日 (土)

表具のお話 その3 <表具師の変遷①>

こんばんは玉木覚です

今日からは<表具師の変遷①>と題しまして、表具師の起源と仕事内容の変遷について紹介していきます

以前の記事で、「表具師は次の<表具に含まれるもの>を設計したり作ったりしている者」、ということを紹介しました。

<表具に含まれるもの>

●掛軸、額装、襖、屏風、衝立、巻子、帖、障子張り、貼付壁、など。

*注:これには色々な解釈があるのですが、文献等で確認できるものの中で、一般的に「表具」と認識されているものを載せました。

実はこれは現在の表具師の仕事でありまして、表具職の歴史を辿っていきますと今とは違う仕事内容をしていたことが分かっています。そして、表具師という呼び名もさまざまに変遷してきました。

では、表具職の変遷を紹介します。

*注:この内容に関しましては文献にも確定的なことが記述されていない部分がありますので、「ふ~ん、そんな感じなのか」といったように断定的なものではなく参考としてご覧ください

表具職が初めて文献に登場するのは、奈良時代の聖武天皇の時代です。当時、朝廷に写経司(のちに写経所)が作られ、ここに経師(きょうじ)や装潢手(そうこうしゅ)*1などの職が置かれました。ここでの経師は単に写経をする者であり、装潢手が写経用紙を染色し調え、罫線を引いて経典にする役割をしていました。ここから察するに、装潢手が表具師の前身のような仕事をしていたといえます。

*1:『装』は紙を裁断あるいは継ぐこと、『潢』は紙を染めることを意味します。

平安時代に入ると、国家事業としての写経は行われなくなり、写経所は廃止されました。そのため、平安後期には官職を失った経師が表具もするようになって、装潢手との境界があいまいになりました。当時は掛物の表具や巻子(巻物)・綴本の装丁の他にも、料紙作り、さらには衝立・屏風・襖の仕立に至るまで、おおよそ紙と布と糊を用いて作るもののほとんどが経師の仕事とされました。

この時代の経師がやっていることは、現在の表具師の仕事内容に近いものですね。

さらに時代は新しくなりまして、鎌倉時代に入ります。鎌倉時代には宋版一切経(摺経)が渡って来て、経師は木版印刷も行うようになります。なんでもやっちゃっていますね。また、この時代に襖に唐紙(からかみ)*2を貼ることが盛んになり、国産の唐紙(からかみ)も作られるようになりました。なお、この唐紙(からかみ)作りと襖貼りを兼ねた職として、後に唐紙師(からかみし)の職名も登場します。これとは別に唐紙大工という職名も登場しますが、こちらは襖の下貼と上貼を専門的に行う職であったようです。

*2:唐紙(からかみ)は現在では主に木版を使用した、いわば印刷した紙を指します。ちなみに、唐紙(とうし)と呼ばれるものは、中国の黄ばんだ画仙紙を指します。

表具師の元を辿っていくと今とは全然異なった仕事をやっていたり、逆に今と似たようなことをやっていたりいろいろなことをやっていたのですね。ちなみに、鎌倉時代までにはまだ「表具師」という名前は登場していません。

次回は室町時代から新しい時代の変遷について紹介します。「表具師」という言葉は一体いつの時代に登場するのでしょうか。

次回もお楽しみに~

表具師  玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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