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2012年2月 7日 (火)

裏打ちの紙⑤

こんばんは玉木覚です

今日は裏打ちに使う紙の紹介です。

前回の記事で、肌裏に使われる紙・増裏に使われる紙・総裏に使われる紙、の三つを紹介しました。(これらの紹介した三種類の紙は、私が去年の表展に出品した掛軸を作るときに使ったものです。)

前回までの記事では、紙の写真を交えながら、私の主観ではありますが紙を触ったときの感触を簡単に紹介しました。なんとなくでも、各紙の様子をお伝えすることが出来ましたでしょうか。

今日からは視点を変えまして、ちょっとマニアックな視点から各紙の様子を紹介していきます。具体的には、各裏打ち紙の材料や製造方法に触れつつ、これらと各紙の特徴や性質との関連性を簡単にみていこうと思います。

なるべく簡単な表現を心掛けますので、気楽にお付き合いください

今日は、肌裏に使われる紙として紹介したものについてお話をします。それはこちらの紙です(写真1、写真2)。

この紙を指して今までは「肌裏に使われる紙」などとまどろっこしい言葉を使っていましたが、実は「美濃紙」というちゃんとした名前があります。

4  ←写真1 肌裏に使われる紙(美濃紙)

5  ←写真2 肌裏に使われる紙のアップ(美濃紙)

美濃紙は主に表装(表具)用として用いられる紙です。(この紙は丈夫であったため、昔は経典、書籍、文書など、長期の保存を求められるものの紙として使われていました。)

この紙は、美濃地方で作られており、原料には『楮(こうぞ)』が使われています。楮はクワ科の植物です。(手元に楮の写真がありませんので、ご興味のある方はインターネットで検索してみてください。)

楮の繊維は比較的太くて長く、繊維の絡み合う性質が強いという特徴を持っています。この特徴から、楮の紙は粘りがあって揉んでも破れにくいという性質を有します。美濃紙は楮でできていますので、もちろんこの性質を持っています。

改めて書きますと、美濃紙の特徴としては、湿度による伸縮が少ない・丈夫で均一な紙の表面を有する・すきむらが無く美しい、といったことが挙げられます。これらの特徴から、すでに紹介したように肌裏の紙として用いられます。(肌裏をする目的としては、作品と布に剛性を与え補強し安定化を図ること、作品に対しては作品に肌裏紙の表情を反映させること、作品に使われている墨や絵具などを固定化させること、などが挙げられます。)

要するに、美濃紙は肌裏の裏打ち紙としてはもってこいの特徴を有しています

ちなみに、その特徴からこの紙は屏風などの下張りや蝶番(ちょうつがい)にも用いられます。また、古くから障子紙(書院)にも用いられてきました。このあたりのお話はまた別の機会に紹介します。

次回は増裏に使われる紙を紹介します。

お楽しみに~

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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