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2016年1月23日 (土)

表展作品のメイキング記事(青年競技大会の部 ver.) <その9.付廻し①>

こんばんは玉木覚です

今日は掛軸のメイキング記事です。この記事では、2014年の表展の青年競技大会に出品した掛軸(写真1)を作っている様子をお届けしています。

2  ←写真1 2014年の表展の青年競技大会に出品した掛軸

前回の記事では、増裏の様子を紹介しました(写真2)。
:増裏(ましうら)とは、掛軸を作る工程で二回目に行う裏打ちのことです。掛軸が完成するまでに、裏打ちを3回行います。一回目の裏打ちは「肌裏(はだうら)」、二回目の裏打ちは「増裏(ましうら)」、三回目の裏打ちは「総裏(そううら)」といいます。

☆前回の記事は、こちらです。⇒『2016年1月14日 (木) 表展作品のメイキング記事(青年競技大会の部 ver.) <その8.増裏>』

5_2  ←写真2 増裏の様子

今日の記事では、付廻し(「切り継ぎ」とも呼びます。)の様子を紹介します。
◎今回の掛軸の付廻しの工程は、二回の記事に分けてお届けします。

☆付廻し(「切り継ぎ」)の工程に関しては、こちらの記事もご参照ください。
『2015年2月 4日 (水) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その10.付廻しの準備>』
『2015年2月18日 (水) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その11.付廻し、その1>』
『2015年3月 5日 (木) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その12.付廻し、その2>』
『2015年3月 8日 (日) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その13.付廻し、その3>』

ところで、付廻し(「切り継ぎ」)の工程では、増裏を入れて仮張りでしっかりと乾燥させた布や紙(今回の掛軸では、作品と台紙)を最適な大きさに裁断して、それらを糊で継いでいきます。つまり、付廻し(「切り継ぎ」)とは、今まではバラバラに存在していた布や作品が一つの形に組みあがってく工程です。

文章ではわかりにくいので、いつものように写真を交えながら見ていきましょう。

まずは、仮張りから増裏を入れたものを剥がします(写真3)。このときに、剥がすものがしっかりと乾燥していることを確認しておきます。
●写真3では仮張りから作品を剥がしていますが、同様にして布や台紙も剥がしていきます。
●乾燥が不十分ですと、仮張りから剥がしたものがフニャフニャと波打ってしまい、掛軸の仕上がりに悪影響を及ぼします。

1_2  ←写真3 仮張りから増裏を入れた作品を剥がしているところ(竹製のヘラを使って剥がしています。)

仮張りから作品を剥がしたら、作品の周囲の余分な部分をカットします。写真4は、カットを終えたところです。

2_2  ←写真4 作品のカットを終えたところ

次に、作品の周囲に取り付ける台紙を準備します(写真5)。

3  ←写真5 作品の周囲に取り付ける台紙

台紙の上に作品を置いて、台紙に作品を取り付ける位置を確認します(写真6)。

4  ←写真6 台紙に作品を取り付ける位置を確認しているところ

台紙に作品を取り付ける位置を確認したら、作品の大きさよりも約2.5 mm小さい大きさで、台紙をくり抜きます。この約2.5 mmは、作品を台紙に張るときの糊しろです。(作品と同じ大きさで台紙をくり抜くと、作品を台紙に張るときの糊しろがありません。)

実際に台紙をくり抜くいたところが、写真7です。

5  ←写真7 台紙をくり抜いたところ

くり抜いた部分に作品を乗せてみて、うまくいっているか確認します(写真8)。

6  ←写真8 くり抜いた部分に作品を乗せたところ

ここからは、台紙に作品を張りこんでいきます。

台紙に作品を張りこむ位置を決めたら、張り込む位置に定規を置いて張り込む位置を明確に確定させます(写真9)。

7  ←写真9 台紙に作品を張りこむ位置に定規を置いたところ

ちなみに、台紙と作品を糊で接着するための糊しろは、約2.5 mmです。写真10の定規とカッターマット(緑の部分)に挟まれている部分が、約2.5 mmの糊しろです。

8  ←写真10 糊しろ

ここまでできたら、いよいよ作品の裏面に糊を付けて台紙に張りこみます。写真11は、作品の裏面に糊を付けているところです。
(余談ですが、台紙と作品を糊で接着するための糊しろは約2.5 mmですので、糊を付ける幅も約2.5 mmになります。)

9  ←写真11 作品の裏面に糊を付けているところ

糊を付けたら、定規に沿わせて作品を置きます。写真12は、作品を定規に沿わせて置こうとしているところです。

10  ←写真12 作品を定規に沿わせて置こうとしているところ

写真13は、定規に沿わせて作品を置いたところです。

11  ←写真13 定規に沿わせて作品を置いたところ

定規に沿わせて作品を置いたら、定規を外します。そして、糊しろ部分を紙を当ててしっかりと撫でます(写真14)。しっかりと手で撫でることによって、作品と台紙を接着することができます。

12  ←写真14 糊しろ部分を紙を当ててしっかりと撫でているところ

写真15は、撫で終わったところです。これで、作品と台紙が一体化しました。

13  ←写真15 作品と台紙が一体化したところ

最後に、台紙の四方の余分な部分(写真15でピンク色の裏打ち紙が見えている部分)をカットして完成です(写真16)。

15 ←写真16 台紙の四方の余分な部分をカットしたところ

これで、とりあえずは一段落つきました。次回の記事では、台紙の周りに一文字や中廻しを付けていきます。

おたのしみに~

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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