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2017年3月28日 (火)

表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.)<その6.肌裏>

こんばんは玉木覚です

今日は、掛軸のメイキング記事をお送りします。

今回のメイキング記事では、古い掛軸の作品を使って、新しい掛軸に仕立て直しします。

出来上がった掛軸(仕立て直しをした後)は写真1、古い掛軸(仕立て直しをする前)は写真2です。

ちなみに、今回作った掛軸(写真1)は、行の行という形式の掛軸です。
☆行の形式については、こちらの記事をご参照ください。⇒『2011年7月 7日 (木) 『行』の仕立(掛軸)』

16  ←写真1 2016年表展の一般の部に出品した掛軸(仕立て直しをした後)

33  ←写真2 古い掛軸(仕立て直しをする前)

前回の記事では、肌裏に使う裏打ち紙を準備する様子を紹介しました。
☆前回の記事は、こちらです。⇒『2017年3月25日 (土) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.)<その5.肌裏に使う裏打ち紙の準備>』

:肌裏とは、掛軸を作る工程で一回目に行う裏打ちのことです。掛軸が完成するまでに、裏打ちを3回行います。一回目の裏打ちは「肌裏(はだうら)」、二回目の裏打ちは「増裏(ましうら)」、三回目の裏打ちは「総裏(そううら)」といいます。

今日の記事では、実際に布や作品に肌裏を入れる様子を紹介します。

☆肌裏を入れている様子は、こちらの記事もご覧ください。⇒『2015年12月17日 (木) 表展作品のメイキング記事(青年競技大会の部 ver.) <その6.肌裏>』

☆肌裏に関する記事は、こちらにもあります。特に①と②の記事の方が、今回の記事よりも詳しいことを載せています。
①⇒『2011年11月 6日 (日) 表展作品のメイキング⑪ <布の裏打ち(肌裏)>』
②⇒『2011年11月 7日 (月) 表展作品のメイキング⑫ <作品の裏打ち(肌裏)>』
③⇒『2014年4月26日 (土) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その6.肌裏>』

肌裏は、掛軸に使う作品と表具布のすべてに入れます。

肌裏の工程をとっても簡単に言いますと、次のようになります。
●刷毛を使って裏打ち紙に糊を均一に塗る

●糊を付けた裏打ち紙を、裏打ちを入れるもの(布や作品)の裏面に貼り付ける。

●裏打ちを入れたものを、仮張りにかけて乾燥させる。

文章ではわかりにくいので、写真を交えながら肌裏を入れている様子を見ていきます。

布の裏打ちをしている様子を見てみましょう。
まずは、刷毛を使って裏打ち紙に糊を均一に塗ります(写真3)。

1  ←写真3 刷毛を使って裏打ち紙に糊を均一に塗っているところ

裏打ち紙に糊を均一に付けたら、裏打ち紙を持ち上げます(写真4)。

2  ←写真4 裏打ち紙を持ち上げたところ

この状態で、作業台の上に裏向けにして置いた布の上に持って行きます(写真5)。

3  ←写真5 作業台の上に裏向けにして置いた布の上に、糊を付けた裏打ち紙を持って行っているところ

そして、裏向けにして置いた布の上に、糊を付けた裏打ち紙を置きます(写真6)。

4  ←写真6 裏向けにして置いた布の上に糊を付けた裏打ち紙を置いたところ

写真6の状態のものを、シュロ刷毛で撫でます(写真7)。写真6の状態のものをシュロ刷毛で撫でることによって、布の裏面に裏打ち紙が接着されます。

5  ←写真7 写真6の状態のものを、シュロ刷毛で撫でているところ

シュロ刷毛でしっかりと撫でたら、仮張りにかけて乾燥させます(写真8)。

16  ←写真8 裏打ちした布を仮張りにかけて乾燥させているところ

これで、布に裏打ちを入れることができました。
写真3から写真7で裏打ちを入れた布は、写真8の仮張りの左上にかかっている布です。

同じようにして、他の布にも裏打ちを入れていきます(写真9から写真11)。

6  ←写真9 糊を付けた裏打ち紙を持ち上げたところ

7  ←写真10 裏向けに置いた布の上に糊を付けた裏打ち紙を置いているところ

8  ←写真11 シュロ刷毛で撫でているところ

ところで、布のサイズが大きいために一枚の裏打ち紙では裏打ち紙のサイズが足りない場合は、複数の裏打ち紙を使って裏打ちを入れました。例えば、写真12と写真13では二枚の裏打ち紙を使って布に裏打ちを入れています。(写真12は、一枚目の裏打ち紙を使って裏打ちを入れたところ。写真13は、二枚目の裏打ち紙を使って裏打ちを入れたところ。)

81  ←写真12 一枚目の裏打ち紙を使って裏打ちを入れたところ

82  ←写真13 二枚目の裏打ち紙を使って裏打ちを入れたところ

最後に、作品に裏打ちを入れる様子を紹介します。

まずは、作業台に敷紙を敷いて、その上に作品を裏向けにして置きます(写真14)。
(敷紙は、作品保護と作業性向上の観点から使用しています。)

9  ←写真15 作業台に敷紙を敷いて、その上に作品を裏向けにして置いたところ

この状態で、スプレーを使って作品に適量の水分を与えます(写真16)。

10  ←写真16 スプレーを使って作品に適量の水分を与えているところ

紙や布には、水分を吸うと伸びて乾燥すると縮むという性質があります。今回の作品は紙ですので、水分を与えると伸びます。写真17は、水分を吸った作品が伸びたところです。写真17から、作品が伸びてポコポコと波打っている様子がわかります。

11  ←写真17 水分を吸った作品が伸びたところ

この伸びた作品を、シュロ刷毛で撫でてシワが残らないように丁寧に伸ばしていきます(写真18)。

12  ←写真18 シュロ刷毛で撫でてシワが残らないように丁寧に伸ばしているところ

シュロ刷毛を使ってシワが無いように作品を伸ばすことができたら、次は裏打ち紙に糊を付けます(写真19)。

13  ←写真19 裏打ち紙に糊を付けているところ

裏打ち紙に糊を付けることができたら、作品に裏打ちを入れます。写真20は、作品の裏面に糊を付けた裏打ち紙を置いた後、シュロ刷毛で撫でているところです。

14  ←写真20 作品の裏面に糊を付けた裏打ち紙を置いた後、シュロ刷毛で撫でているところ

シュロ刷毛でしっかりと撫でたら、仮張りにかけて乾燥させます(写真21)。

15  ←写真21 仮張りにかけて乾燥させているところ

これで、布と作品に肌裏を入れることができました。裏打ちを入れた布と作品は、仮張りにかけた状態でしっかりと乾燥させます。しっかりと乾燥させることができたら、次は肌裏を入れたものに二回目の裏打ちである増裏を入れます。

次回の記事では、増裏に使う紙を準備している様子を紹介します。

お楽しみに~

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/





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