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2017年4月21日 (金)

表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.)<その9.付廻し、その1>

こんばんは玉木覚です

今日は、掛軸のメイキング記事をお送りします。

今回のメイキング記事では、古い掛軸の作品を使って、新しい掛軸に仕立て直しします。

出来上がった掛軸(仕立て直しをした後)は写真1、古い掛軸(仕立て直しをする前)は写真2です。

ちなみに、今回作った掛軸(写真1)は、行の行という形式の掛軸です。
☆行の形式については、こちらの記事をご参照ください。⇒『2011年7月 7日 (木) 『行』の仕立(掛軸)』

16  ←写真1 2016年表展の一般の部に出品した掛軸(仕立て直しをした後)

33  ←写真2 古い掛軸(仕立て直しをする前)

前回の記事では、増裏を行っている様子を紹介しました(写真3)。

☆前回の記事は、こちらです。⇒『2017年4月18日 (火) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.)<その8.増裏>』

:増裏とは、掛軸を作る工程で二回目に行う裏打ちのことです。掛軸が完成するまでに、裏打ちを3回行います。一回目の裏打ちは「肌裏(はだうら)」、二回目の裏打ちは「増裏(ましうら)」、三回目の裏打ちは「総裏(そううら)」といいます。

33  ←写真3 肌裏を入れた作品に、増裏を入れているところ

今日の記事では、付廻し(切り継ぎとも言います。)の工程を紹介します。
この工程では、増裏を入れた作品や布を最適な大きさにカットして、糊を使って継いでいきます。
*切継ぎの工程は、記事のボリュームが多いので3回に分けてお送りします。

☆付廻し(「切り継ぎ」)の工程に関しては、こちらの記事もご参照ください。
『2016年1月23日 (土) 表展作品のメイキング記事(青年競技大会の部 ver.) <その9.付廻し①>』

☆☆付廻し(「切り継ぎ」)の工程に関しては、こちらの記事も併せてご参照ください。
『2015年2月 4日 (水) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その10.付廻しの準備>』
『2015年2月18日 (水) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その11.付廻し、その1>』
『2015年3月 5日 (木) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その12.付廻し、その2>』
『2015年3月 8日 (日) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その13.付廻し、その3>』

では、早速作業に入りましょう。

付廻し(「切り継ぎ」)の工程では、増裏を入れて仮張りでしっかりと乾燥させた作品や布を仮張りから剥がして使います。

写真4は、仮張りから作品を剥がしているところです。

1  ←写真4 仮張りから作品を剥がしているところ

仮張りから作品を剥がしたら、作品の四方をカットします(写真5、写真6)。

2  ←写真5 作品をカットしているところ

3  ←写真6 作品の四方をカットしたところ

これで、作品のカットが完了しました。

次に、作品の上辺と下辺に一文字の布を継ぎます。

★一文字とは、作品の上辺と下辺に付く部材のことです。(図1参照)
表装 掛軸解説図1 ←図1 掛軸の模式図

一文字の布も作品と同様に仮張りから剥がして、適切な大きさにカットします(写真7)。

4  ←写真7 一文字に使う布をカットしているところ(布の裏面(裏打ちが入っている側)を上にしてカットしています。)

写真8は、一文字に使う布をカットしたところです。

5  ←写真8 一文字に使う布をカットしたところ

写真8の布を、作品の上辺と下辺に糊を使って継ぎます。
まずは、作品の下辺に一文字の布を継ぐ様子を見てみましょう。

一文字の裏面に糊をつけます(写真9)。
(一文字と作品の下辺を糊で接着するのですが、そのための糊しろは約2.5 mmです。ですので、糊を付ける幅も約2.5 mmです。)

6  ←写真9 一文字の裏面に糊をつけているところ

一文字の布の裏面に糊をつけ終わったら、作品の下辺に付廻します。
写真10は、作品の下辺に一文字の布を置いたところです(定規は、布を置くガイドです)。

7  ←写真10 作品の下辺に一文字の布を置いたところ

写真11は、糊しろ部分をしっかりと撫でているところです。糊しろ部分をしっかりと撫でることによって、作品を一文字の布をしっかりと接着させます。

9  ←写真11 糊しろ部分をしっかりと撫でているところ

写真12は、一文字の布と作品を継ぎ終わったところです。

10  ←写真12 一文字の布と作品を継ぎ終わったところ

次に、写真9から写真12と同様にして、一文字の布を作品の上辺に継ぎます。
写真13は、一文字の布を作品の上辺に継いだところです。これで、作品の上辺と下辺に一文字の布を継ぐことができました。

11  ←写真13 一文字の布を作品の上辺に継いだところ

そして、作品からはみ出している余計な部分をカットします(写真14、写真15)。

12  ←写真14 作品からはみ出している余計な部分をカットしたところ(作品上辺の一文字)

13  ←写真15 作品からはみ出している余計な部分をカットしたところ(作品下辺の一文字)

何となくですが、掛軸の姿が見えてきた気がしませんか

次回の記事では、今日の続きで中廻しを切り継ぎます。

お楽しみに

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

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