« 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.)<その12.耳折り> | トップページ | 小川温泉へ行ってきました☆前編 »

2017年5月16日 (火)

表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.)<その13.総裏の準備>

こんばんは玉木覚です

今日は、掛軸のメイキング記事をお送りします。

今回のメイキング記事では、古い掛軸の作品を使って、新しい掛軸に仕立て直しします。

出来上がった掛軸(仕立て直しをした後)は写真1、古い掛軸(仕立て直しをする前)は写真2です。

ちなみに、今回作った掛軸(写真1)は、行の行という形式の掛軸です。
☆行の形式については、こちらの記事をご参照ください。⇒『2011年7月 7日 (木) 『行』の仕立(掛軸)』

16  ←写真1 2016年表展の一般の部に出品した掛軸(仕立て直しをした後)

33  ←写真2 古い掛軸(仕立て直しをする前)

前回の記事では、掛軸の耳を作る様子(耳折り)を紹介しました(写真3)。

777  ←写真3 布を折り返して耳を作っているところ

☆前回の記事は、こちらです。⇒『2017年5月13日 (土) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.)<その12.耳折り>』

今日の記事では、総裏の準備の様子を紹介します。
:総裏とは、掛軸を作る工程で三回目に行う裏打ちのことです。掛軸が完成するまでに、裏打ちを3回行います。一回目の裏打ちは「肌裏(はだうら)」、二回目の裏打ちは「増裏(ましうら)」、三回目の裏打ちは「総裏(そううら)」といいます。

☆総裏の準備に関しては、こちらの記事もご覧ください。⇒『2016年3月10日 (木) 表展作品のメイキング記事(青年競技大会の部 ver.) <その12.総裏の準備>』

<追記>
総裏に関する記事に関しては、下のリンクの記事も併せてご覧ください。
『2011年12月 3日 (土) 表展作品のメイキング26 <総裏の準備、その1>』
『2011年12月 5日 (月)  表展作品のメイキング27 <総裏の準備、その2>』
『2011年12月 6日 (火) 表展作品のメイキング28 <総裏の準備、その3>』
『2011年12月 9日 (金) 表展作品のメイキング29 <総裏>』
『2014年6月 9日 (月) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その12.総裏>』

では、今日の作業に入りましょう。

総裏で使う主な材料は、大きく分けて次のようになります。
●宇陀紙(総裏に使う裏打ち紙。和紙です。)
●上巻き(掛軸の裏面の上部に使う絹。)
●袋(八双と軸木を掛軸に取りつけるために必要な部材。和紙です。)
●軸助け(掛軸の裏面の軸木部分に付けます。軸木部分を補強するための絹。上巻きと同じ絹を使います。)

まずは、宇陀紙の準備を行いましょう。

今回使用した宇陀紙は、こちらです(写真4)。
☆宇陀紙については、こちらの記事をご覧ください。⇒『2012年2月19日 (日) 裏打ちの紙⑦』

3  ←写真4 宇陀紙

宇陀紙はあまり大きな紙ではないので、総裏を入れるときには複数枚の宇陀紙を継いで使うことが多いです。今回の掛軸では、複数枚(7枚ぐらい)の宇陀紙を使用しました。
しかし、宇陀紙を継ぐ時には注意点がありまして、宇陀紙を袋から出してきて何の手も加えずにそのまま総裏に使用すると、宇陀紙同士の継ぎ目が目立ってしまい、掛軸の仕上がりが悪くなってしまいます。
そこで、宇陀紙の端を手でちぎって和紙の繊維を引き出し、『喰い裂き(くいさき)』というものを作ります。
(このブログを読んでくださっている方は、「喰い裂き」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんね☆)

喰い裂きを作っておいて、総裏を入れるときに喰い裂き同士で宇陀紙を継ぐことで、宇陀紙同士の継ぎ目を目立たなくさせます。

これが、「喰い裂き」です(写真5)。

10  ←写真5 ちぎり口の拡大(紙の繊維が引き出されています。これが「喰い裂き」です。)

では、喰い裂きを作っていきましょう。
まずは、喰い裂きを作る部分に刷毛で適量の水分を与えます(写真6)。
ここでは、定規に沿って適量の水分を含んだ刷毛を滑らせて宇陀紙に水分を与えています。
☆宇陀紙を7枚ぐらい重ねて作業を行っています。

4  ←写真6 喰い裂きを作る部分に刷毛で適量の水分を与えているところ

次に、水分を与えた部分を骨ヘラで擦ります(写真7)。
水分を与えた部分を骨ヘラで擦ることによって、重ねてある宇陀紙の一番下の紙まで水分が浸透して、きれいな喰い裂きを作ることができます。

5  ←写真7 水分を与えた部分を骨ヘラで擦っているところ

そして、骨ヘラで擦ったところを手でちぎっていきます(写真8)。

6  ←写真8 骨ヘラで擦ったところを手でちぎっているところ

写真9は、ちぎり終わったところです。

7  ←写真9 ちぎり終わったところ

これで片側の喰い裂きができました。同じ要領で、もう片側にも喰い裂きを作ります。
写真10は、宇陀紙の両端に喰い裂きを作ったところです。

8  ←写真10 宇陀紙の両端に喰い裂きを作ったところ

これで、宇陀紙の準備はできました。

続いて、上巻き(写真11)、袋(写真12)、軸助け(写真13)を準備しましょう。
上巻きと袋は、掛軸の幅よりも約6 cm長い長さでカットします。
軸助けは、上巻きと同じ絹をカットして作ります。

1  ←写真11 上巻き

2  ←写真12 袋

10  ←写真13 軸助け

これで、宇陀紙、上巻き、袋、軸助けの準備ができました。
ちなみに、これらを総裏を入れるときのシミュレーションとして掛軸の裏面に並べると、写真14のようになります。

9  ←写真14 宇陀紙、上巻き、袋、軸助けを総裏を入れるときのシミュレーションとして掛軸の裏面に並べたところ(写真の右側が掛軸の上側、写真の左側が掛軸の下側です。軸助けは小さいので、ちゃんと写っていません

次回の記事では、今日の記事で準備した材料を使って掛軸に総裏を入れます。

お楽しみに

<おまけ>
総裏では、宇陀紙同士を継ぐ部分に喰い裂きをもってきます。喰い裂きの部分は、紙の繊維が出ている状態になっています(写真15)。よって、喰い裂き同士で宇陀紙を継ぐことによって、宇陀紙の継ぎ目を目立たなくさせることができます。

8  ←写真15 裁ち切り(刃物で切った切り口)と喰い裂き

表具師 玉木楽山堂

http://www.tamakirakuzando.com/

« 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.)<その12.耳折り> | トップページ | 小川温泉へ行ってきました☆前編 »

文化・芸術」カテゴリの記事

旅行・地域」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

趣味」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.)<その12.耳折り> | トップページ | 小川温泉へ行ってきました☆前編 »