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2018年1月13日 (土)

表展作品のメイキング記事(青年競技大会 ver.)<その6.総裏の準備と総裏>

こんばんは玉木覚です

今日は、メイキング記事の続きです。

このメイキング記事では、2015年の表展の青年競技大会に出品した掛軸(写真1)を作っている様子を紹介します。
いつものメイキング記事ですと、掛軸ができるまでの工程を一つ一つ紹介していますが、今回のメイキング記事では、二つから三つの工程を一つの記事にまとめて紹介していきます。

1_3  ←写真1 2015年の表展の青年競技大会に出品した掛軸

前回の記事では、耳折りの工程を紹介しました(写真2)。

☆前回の記事は、こちらです。⇒『2018年1月 4日 (木) 表展作品のメイキング記事(青年競技大会 ver.)<その5.耳折り>』

111  ←写真2 耳折りを行ったところ
今日の記事では、総裏の準備と総裏を行っている様子を紹介します。
:掛軸が完成するまでに合計で3回の裏打ちを施します。一回目の裏打ちを『肌裏』、二回目の裏打ちを『増裏』、三回目の裏打ちを『総裏』と呼びます。こちらに簡単に紹介していますので、よろしければご覧ください。⇒「掛軸の作成工程」
☆総裏の準備と総裏の様子は、こちらの記事もご覧ください。

☆総裏の準備については、こちらの記事もご参考にしてください。
『2015年4月13日 (月) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その16.総裏の準備その1>』
『2015年4月21日 (火) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その17.総裏の準備その2>』

<追記>
総裏に関する記事に関しては、下のリンクの記事も併せてご覧ください。
『2011年12月 3日 (土) 表展作品のメイキング26 <総裏の準備、その1>』
『2011年12月 5日 (月)  表展作品のメイキング27 <総裏の準備、その2>』
『2011年12月 6日 (火) 表展作品のメイキング28 <総裏の準備、その3>』
『2011年12月 9日 (金) 表展作品のメイキング29 <総裏>』
『2014年6月 9日 (月) 表展作品のメイキング記事(一般の部 ver.) <その12.総裏>』

では、総裏の準備を見ていきましょう。

こちらが、総裏に使う材料(袋、上巻き、宇陀紙)です。

袋(写真3)は、八双と軸木を掛軸に取り付けるために必要な材料です。
写真3ではロール状になっていますが、この状態から必要な長さをカットして使います。
☆袋に関しては、こちらの記事をご覧ください。⇒『2011年12月 6日 (火) 表展作品のメイキング28 <総裏の準備、その3>』
1  ←写真3 袋
上巻き(写真4)は、掛軸を巻き仕舞った時に一番外に来る部分(掛軸の裏面の上部)に使われるものです(写真5)。
上巻きは、絹を裏打ちしたものです。
写真4ではロール状の上巻きが写っていますが、実際に使う時はロールから必要な分だけカットして使います。
2  ←写真4 上巻き
4  ←写真5 掛軸の裏面
そして、上巻きと同じ素材を使って、軸助けを作ります(写真6)。
軸助けは、掛軸に軸木を取り付けている部分が傷まないように補強する役割を担っています。掛軸のどの部分に軸助けを取り付けるのかは、後に紹介します。
8  ←写真6 軸助け
最後に、総裏の裏打ち紙である宇陀紙を紹介します(写真7)。
宇陀紙はサイズが大きくないので、総裏に使う時は数枚の宇陀紙を継いで裏打ちを入れることになります。
数枚の宇陀紙を継いで使うとは言っても、そのまま使って継ぐのではなく、喰い裂きという加工を行ってから使います。
喰い裂きを作っている様子は、次で紹介します。
3  ←写真7 宇陀紙
ここからは、宇陀紙に手を加えて喰い裂きを作る様子を紹介します。
喰い裂きとは、写真8の右のように、紙の繊維が引き出された状態です。
裁ち切りと喰い裂きを見比べるとこのようになります(写真8)。

8  ←写真8 裁ち切りと喰い裂き

総裏では、喰い裂き同士を繋げて宇陀紙を継いでいくことによって、宇陀紙のつなぎ目を目立たなくします。

では、喰い裂きを作っていきましょう。
まずは、喰い裂きを作る部分に刷毛で水分を与えます(写真9)。
4  ←写真9 喰い裂きを作る部分に刷毛で水分を与えているところ
次に、水分を与えたところをヘラで擦ります(写真10)。
5  ←写真10 水分を与えたところをヘラで擦っているところ
最後に、ヘラで擦ったところを手でちぎります(写真11)。
6  ←写真11 ヘラで擦ったところを手でちぎっているところ
これで、喰い裂きができました。
同様にしてもう片側にも喰い裂きを作ると、写真12のようになります。
写真12の状態に加工した宇陀紙を使って、総裏を行います。
7  ←写真12 宇陀紙に喰い裂きを作ったところ
では、ここからは総裏を行っている様子を見ていきましょう。
まずは、袋を掛軸の上端と下端にセットします。
写真13は、掛軸の上端に袋を取り付けたところです。
掛軸の上端の袋には八双を、下端の袋には軸木を取り付けます。
(八双と軸木を取り付ける様子は、後の記事で紹介します。)
9  ←写真13 掛軸の上端に袋を取り付けたところ
次に、上巻きに糊をつけて(写真14)、掛軸の上部に裏打ちを入れます
このとき、『上巻き(絹)』が八双を取り付けるための袋を覆うようにします。
:掛軸上部のみ、『宇陀紙』ではなく『上巻き』で裏打ちされることになります。)
10  ←写真14 上巻きに糊をつけているところ
上巻きで掛軸の上部に裏打ちを入れたら、続いて宇陀紙で裏打ちを入れます。
写真15は、上巻きで掛軸の上部に裏打ちを入れた次に、続いて宇陀紙で裏打ちを入れたところです。
12  ←写真15 上巻きで掛軸の上部に裏打ちを入れた次に、続いて宇陀紙で裏打ちを入れたところ
宇陀紙を使って掛軸の下部まで裏打ちを入れたら、仮張りに掛けてしっかりと乾燥させます(写真16)。
このときに、掛軸の下部の端に軸助けを取り付けておきます(写真17、写真18)。
15  ←写真16 総裏を入れた掛軸を仮張りで乾燥させているところ
13  ←写真17 軸助けを取り付けたところ
14  ←写真18 軸助けを取り付けたところ
これで、総裏ができました。
総裏を入れた掛軸は、仮張りに掛けた状態(写真16)でしっかりと十分に乾燥させます。
もしも乾燥が不十分な状態で掛軸を仮張りから剥がすと、掛軸がヨレたり波打ってしまったりして仕上がりがとても悪くなってしまいますので、注意が必要です。
次の記事では、八双と軸木を準備している様子を紹介します。

お楽しみに~

<おまけ>

お気付きの方もいらっしゃると思いますが、総裏に使った『宇陀紙』はアルファベットのHの形に加工して使っています(写真12)。これは、総裏を入れ終わった後に『宇陀紙』の継ぎ目部分を外れにくくする役目を担っています。H型の出っ張った部分同士が重なることによって、『宇陀紙』の継ぎ目が外れにくくなります(写真19)。

12  ←写真19 H型の出っ張った部分同士が重なっている部分

表具師 玉木楽山堂

https://www.tamakirakuzando.com/

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